再掲・日常に潜む恐怖

2012年3月18日日記・雑記

こんにちはこんばんは、サルです。
数日前、twitterのタイムラインに目をやると、こんなニュースのツイートが「こわいなー」というコメント付きで流れてきていました。朝日新聞の記事でちょっとするとNot Foundになっちゃうので、kwoutでキャプチャりましたよ。

顛末としてはこのあと、入院中の母親が「毎日病室に来るのに」と不審に思い看護師に連絡。その後警察に通報されて救出…と続きます。記事はさらに、直後に母親の容体が悪化し、女性の到着を待って亡くなったことを伝えています。助かって良かったものの、なんとも切ない話です。

トイレに閉じ込められる。
なんてまぬけなヤツーとお思いですか? 自分にはまったく関係のない話だと。場所がトイレというのも滑稽な感じを醸し出すのかもしれませんが、実際はまったく笑えない話。

私には、忘れようとしても忘れられぬ忌まわしい記憶があります。さかのぼること7年、2003年の暑かったあの日に事件は起きたのです。

ここからは当時の旧ブログ記事を全文ママ引用・再掲します。上記で閉じ込められた女性、そして7年前の私の恐怖を少しでも感じ取っていただければ幸い。そして今日もやたらに長文なので、それこそトイレしたい人は行ってきてくださいね。閉じ込められないように気をつけて。

日常に潜む恐怖 [2003-09-01]より

出られないかも、という恐怖を味わったことはありますか?
何をしようにも為すすべのない恐怖を味わったことは?

恐怖は常に日常と隣り合わせにあるということをサルは今日、実感しました。まだ余韻さめやらぬ中、生きているって素晴らしいとかみしめながらこの文章を書いているわけなのでございます。で、いったいサルに何が起こったのかといいますと。…

今日わたくし、そう、なんと家のトイレに閉じこめられてしまったのです…。

あっ、そこのアンタ!ちょっと笑いましたか?
まあ私の話を聞いてくださいな。

サル宅はそもそもが古い建物で、トイレのドアの取り付けがちょっと具合悪く、外のドアノブが取れてしまっていたんですね。いつも入る時は半開きにしていたつもりが、今日はなにかの拍子で閉まってしまったんです。

さて、用を足して出ようと中からドアノブを回すと…カラカラカラ…あれ?空回り。…も、もしや、いや、まさか…。カラカラカラカラカラカラ。今度は逆回し、カラカラカラカラカラカラ…と何度か回してみますが、虚しい回転運動を繰り返すのみ。

そのまま2〜3分したところで、
「もしかしてこの状態、ヤバいんでは」

そして思わずにいられなかったことを思ってしまいます。

「…で、で、出られない?」

気付くと同時に、襲ってくる恐怖と不安。ドア隔てた外はいつもの台所が存在しているのに、たかがドアノブ一つのせいで?まさか?

とはいってもひとり暮らしなので同居人に助けを求めるわけにもいかないし、いちいち携帯や工具を持って入るでもありません。あの狭い、蒸し暑い空間に監禁状態。

すぐ後に風呂に入ろうと思ってほぼ素っ裸状態、途方に暮れるサル一匹。そしてさらなる困難がサルを襲うのです。

さぁさぁ、いったいどうなってしまうのか??

続・日常に潜む恐怖 [2003-09-22]より

(前章から続く)さて途方に暮れていても外に出られないので、とりあえず刑事ドラマのようにドカーンと行ってみれば蝶番がはずれて開くかも…。といっても横幅70センチのトイレ内。ドアノブめがけて手首でアタックするしかありません。どん。どん。ドアはたわむものの、ドアノブまでぶっこわれるほどの勢いにはなりません。

結局、助走付けてドアにカラダごと激突するくらいの勢いじゃないとだめなんですよね、多分。て今は冷静に言えますが、そのときは必死なもんですから手首に血がにじみ、向かいのアパートや隣人からは何事かと思われそうな大きな音で…それでも開かない。

押してもひいてもだめ、とパニックになりそうだったんですが、とりあえず武器になりそうなものを探しました。…しかし何もない。どうやったら出られるのかと努めて建設的に考えるようにしました。出られない、と考えると本当に気が触れそうだったんで。

トイレの窓を開けて、隣のアパートの人に大声で叫んで助けを求めようかとか大家さんに連絡してもらおうかとも思ったんですがなにせ裸。そのときは出る前にバスタオルを取ってもらおうとかしょうもないことまで浮かぶ始末。しかしその時点で深夜の日付変更線を越えてしまっていたため、ご近所中の騒ぎになることは避けたい。(しかし生命の…とここでも葛藤)

結局、ノブ本体を回さないといけない。しかし工具はない。要は、ドアノブの中の何かを回せればいいんだし…このカラカラいうノブは取ってしまおう。いや取ってしまって良いのか。本当に処置なしになってしまったらどうしよう。ドアノブはネジで締まっているし、取ることはできても元通りにはできないし…うーん…どうしたものか…ええい、一か八かだ。

ドアノブを持つと、ムリムリムリムリっと下にねじって、ぐぐぐぐ…と力を込めます。普通ならちゃんと取り付けてあるからそれだけでは取れないと思うんですけど、もともと反対側が取れているのとねじ穴が少し広がっているせいで、取ることはできました。

すると中に、4角形の穴を発見。そうか、この穴をてこの原理でノブを回して開け閉めするのか。ふーん、とドアの原理について考えたりなんかして、しかしこの穴を回すにはこれと同じくらいのなにかがないといけない。ああ、この穴ラチェットでカタカタ回したい。

何もないことは分かっていますが、もう一度トイレを見回してみます。うっ、いくら見たって哀しいほどに何もないぜ。

試しにその穴に人差し指を入れて回してみます。しかしノブでのてこ原理では楽々回るものの、指くらいじゃ容易に回りません。困った、本当に困った。これができなければマジで出られない。

我に返ると、少しずつトイレの中の温度も上昇してきて汗をかき始めていました。この状態で朝を迎えたくない…いや迎えたとしても、誰にどうやって伝えれば良いのか。ま、まさか誰かが携帯に出ないのをおかしいと家に来てくれるまでこのままなのか。っていうかそれはいつなのだ。うわ、まじやばい。ちょっとパニくりそうだ。

よし、今度は親指で…ああ、重い、回らない…だめか、だめなのかこれでも…

もはや、と思われたその瞬間、ついっとその穴が回ったような気がしたその瞬間、気が付くと私は台所に素っ裸で立っていました。ただ、ただ呆然と。

みなさん、生きているって素晴らしい。というか、ドアノブはちゃんと修理しておきましょう。これじゃトラウマになりそうだよ私…トイレでしにたくねえぇ…

閉じ込められたのは、時間的にはほんの数十分だったと思います。それでもこれだけ怖かった。それを八日間ですって? よくぞそのあいだ正気を保っていられたものだ…とね。

パニックになりかける気持ちを押しとどめるには、なんとかなるだろという楽観的な自分と、助かる手段を考えられる客観的な自分で居続けることが重要なのですが、頭で分かっていてもなかなかね。すぐにマイナス側に振れそうになる。ニュース記事を読んでこのときの恐怖がフラッシュバックしちゃいましたよ。

そして私はこの一件以降、自宅トイレでドアを閉めて用を足すことができなくなっちゃったんですよ。いや笑い事じゃなくて、ほんとの話。

記事の女性は毎日連絡を取り合っていた母親がいたけれど、私はあまり密には連絡を取り合っていなかった。さらにこのときは無職で引きこもっていた時期でして…えへへ…会社から連絡が来ることもなかったのです。友達やツレが一度電話してきて出なかったところで、不審に思ってすぐに探しに来るということはないですもんね。まさかトイレに閉じ込められているなんて。

たまたま立て付けが悪くてドアノブが取れたからよかったようなものの、もしそうでなかったら素っ裸で救助を待ち続けてそして…。なんてことも可能性としてはあったのだと思うと、今でも怖さでたまらなくなります。

これはトイレの話でしたが、一人暮らしにはそういった危険が常にあると思います。風呂場で足を滑らせてバスタブで頭を強く打って失神、発見が遅れれば…なんてことも(このため風呂場では割と足下を意識して入ってます)。まあ、一人暮らしでなくても一人でいるときなら一緒だけどね。ほんと、気をつけましょうね。