Kobitoよ僕は旅立つ。プログラマ向けノートアプリ「Quiver」

2016年3月15日Webサービス・アプリ,Web制作・ブログEvernote,Markdown,クラウド

仕事・プライベートにかかわらず、ソースコード混じりの覚え書きはここ数年kobitoを愛用中です。

高機能ではないけれどシンプルで使いやすいんですね。コードといっても、html, css, scss, phpあたりが関の山ですが。

唯一のデメリットは、ライブラリをDropboxに置いて複数端末で使うために、月額480円のプレミアムを購入しなければならないこと。

バージョン1.xまではクラウド上のライブラリファイルにシンボリックリンクを張る手が使えましたが、2.2あたりから同期機能をプレミアムのうまみにする意図かApp Store絡みか、これができなくなってしまいました。

そんなわけで一度だけプレミアムを購入してみましたが、サブマシンのまっさらなkobitoからDropbox上の既存ライブラリを読もうとすると、見事にまっさらに上書きしてくれる事案が発生。現在どうかは知りません。(同様にプレミアムをやめた方のQiita記事。Kobitoプレミアムの同期機能 – Qiita

目をつぶってきたところだけど潮時かな、もっと良いものがある気もするし…と検索に引っかかったのがQuiver。

Quiver: The Programmer's Notebook

Quiver: The Programmer’s Notebook App

価格: ¥1,200, 開発: HappenApps, Inc., カテゴリ: 仕事効率化, 互換性:
Rating:4+, ユーザー評価平均値:5(ユーザー数:23)

kobitoからの卒業

そもそもkobitoから離れられなかったのは、

Kobito
Kobitoの画面

シングルクォーテーションに続ける文字列が拡張子だけでもファイル名でもパス込みでもシンタックスハイライトが効いて、プレビューでも表示されるところと、拡張子ですらなくて適当な文字列でもいいところ。…まあ、そこだけなんだけど地味に便利だったんです。

ある方にそれを言ったら

忘れる、そ、そうかそれって斬新…って踏ん切りがついて、公式(HappenApps )にある試用版を使い始めたのが四日前。そうしたらこれが予想以上によかった。

折しも三月。悲しいけれど私この春、Kobitoを卒業します。(Qiitaのアカウントはあるのでアンインストールはしないけれども)

ファーストインプレッション

Quiver
dark-alternoteのTheme あててます

三日ほど使ってみたけど、良いアプリに出会えたときってわかるじゃないですか。トライアル期間を待たずして買っちゃうんじゃねーの俺、と。

さてここから、またしても長いです。
あとで読むボタンは記事下です。

「Cell」という概念

QuiverはKobitoのようなmarkdown専用エディタではなく、リッチテキストや各種言語に対応したソースコードなど、一文書内で内容によってモードを変えることができます。

そこらへんの説明は「QuiverをはじめようWiki 」に書いてあるので、サンプルを作ってみました。LatexとDiagram Cellはてんでわからんから三種類だけ。

Quiver
Cellサンプル
  • Text Cellはリッチテキストモード。文字装飾、画像やWebページのスクラップを貼り付けしたいときに。Webスクラップをしたときのスタイルの保持加減は、EvernoteよりQuiverのほうが現状に近いかも?
  • Code Cellはソースコードモード。エディタ画面でもそれっぽい見栄えで表示
  • Markdown Cellは、まあmarkdownです。従来の方法でソースコードを挿入してもいいし。
  • Cellを複数選択して消す、という操作はできないようだ たぶん

コード部の中では要素がtabでインデントでき、開始カッコ行をクリックすると閉じカッコがハイライトされ、Code Cellにいたってはtabキーでタグが展開できたりcommand + / でコメントアウト…というどこかのエディタのような使い勝手が心憎いです。

なおmarkdownファイルをQuiverにインポートしようとしたとき、コード部分で

きっちり拡張子を書いている場合に限り、Code CellやMarkdown Cellを自動で分けてくれる心憎い設計パート2となっております。

MarkdownのみでもCellを分けるメリット

なんらかのテキストやレジュメをmarkdownで書こうとする場合。

ひとつのCellで打っていくより、「中見出し+段落」「段落ごと」でCellを分けておくことで並べ替えがとてもスムーズになります。アウトラインプロセッサさながらの操作が可能になります。

テーマ着せ替えとスタイル編集

アプリ全体のテーマは環境設定のThemesタブ。ビルトインで4種類用意されているほか、GitHub(Themes )にあるjsonファイルを読み込んだり自作したり。上に挙げたテーマの「dark-alternote」は、私が今Sublime Textで使っているテーマと似ているので気に入っています。

個々のfont-sizeだのfont-familiyだのbackgroundだのは、Stylesタブ内でcssが編集できます。ただしここでの指定はテーマを変更しても効いたままです。

Quiver
Stylesタブ

例えば、編集画面とプレビューで背景色を変えて見分けやすくしてみたり。

Quiver
編集/プレビュー分割表示

classNameやマークアップは確認していないので、単にbodyにbackground-colorを当てているだけですが。

記事の3分の2まで来たよ! もうひと息の辛抱だ!

ライブラリファイルのクラウド同期

複数の端末で同じノートアプリを使うなら、データをクラウドに置いて同期を取れることが、自分の場合は絶対条件です。

QuiverはAの端末でライブラリをクラウドに置いたら、Bの端末で既存のライブラリを読み込んで完了。AもBも起動した状態のまま片方で編集すると、「置き換える? 置き換えない?」と警告が出ます。ま、普通です。

Quiver
編集バッティング時の警告

Quiverユーザ間でノート共有(SHARED NOTEBOOKS)

共有用のノートブックは、本体ライブラリと別個のものとして任意の場所に置けて、社内だろうが遠隔だろうが複数人でノートを共有できます。

サイドバー

共有用としてノートブックを作成したら、サイドバーのリストを右クリック。もしくは「ファイルメニュー→Share Notebook」を選択して、クラウドや社内共有環境など任意のスペースに置きます。

ノートブックは.qvnotebookの拡張子が付いたパッケージの形で、その中にひとつひとつのノートが.qvnoteファイルとして格納されます。グループの人は、「ファイルメニュー→Open Shared Notebook」でこの.qvnotebookファイルを読み込みます。

いいですね、これ。wiki的にも使えるし。

インポート

他アプリからのデータ移行は気になるところでしたが、Quiver形式を除けば下の3つ。

  1. markdown文書:markdownの書式なら拡張子は.txtでも.markdownでも.mdでも.mdownでもOK
  2. リッチテキスト文書
  3. Evernoteでエクスポートしたファイル(.enex):Text Cellでインポートされる、HTMLを貼っつけたものも書式ごと。当たり前だがpdfはだめ

Kobitoの場合はアイテム(ノート)を複数選択することができず、エクスポートもアイテム単位でしかできないので、チマチマとmdファイルを書き出していくしかないと思うんですけどね。対して、Evernoteからのインポートはとてもスムーズでした。量とノートの内容によりますが。

エクスポート

Quiver形式を除いた汎用形式では、ノート単位やノートブック単位のエクスポートがHTML, markdown, txt, PDFでできるようです。

  • markdown書き出しは優秀
  • HTML書き出しもできるけどマークアップはかなりえぐい

この手のノートアプリはどんどん書き溜めていくだけで、エクスポートを使うケースはほぼありませんでしたが。Kobitoを除いて。

総括。使いはじめて一週間の人の感想

  • ブログの下書きアプリとしても使える、けどBywordで書くほうが好き
  • メモ/スクラップアプリとしても使える、けどそういう用途ならEvernoteやMac純正メモ(リスト程度のmarkdownは使える)のほうが適しているしお金がもったいないだろう
  • 「markdown形式でコピー」があればよかったのになあ
  • markdownでバックスラッシュのエスケープが効かないが、バッククォートならOK
  • ライブラリの容量が増えていっても動作が重くなったりしないのかな
  • さりげなくプレゼンテーションモードがかっこいいけど今のところ使い道がない
  • Quiverはいいものだ
  • 時を置かずして無料セールとか半額とか、やらないでくださいお願いします

コンセプトはプログラマさんやWeb制作従事者がソースコードをしたためるアプリなのですが、使いみちのバリエーションはユーザ次第といったところではないでしょうか。

と当たり前のことを書いてまとめたところで、ファーストレビューを終わります。